ウォーターセル開発部の在宅勤務について
こんにちは。開発部の中川@Nkznです。
4月16日夜に、非常事態宣言の対象地域が全都道府県になりました。
というわけで、弊社がある新潟県も対象地域になりました。
良い機会なので、弊社開発部(スマート農業システム開発部)の在宅勤務への取り組みについて紹介します。
目次
- 目次
- 3月初めから原則在宅勤務に切り替え
- 2018年からBCPの一環として在宅勤務の準備をしていた
- ウォーターセルの開発を支えるコミュニケーションインフラ
- みんなの自宅の作業デスク情報が集まってくる魔法のスレ
- 仕事のやり方は変わった?
- まとめ
3月初めから原則在宅勤務に切り替え
まずは、弊社のコロナ対策について。
おそらく新潟県内では早いほうだと思うのですが、弊社では3月から「原則として在宅勤務」に移行しました。もう1ヶ月半ほど在宅勤務を続けていることになります。
業務上の必要に応じて出社は許可されていますので、在宅だと無理のある業務を行う場合は、上長と相談の上、各自の判断で(主に車で)出勤しています。とはいえ、出社している人自体がかなり少ないので、社内でのSocial Distancingはできていそうです。
2018年からBCPの一環として在宅勤務の準備をしていた
在宅勤務やリモートワークの制度を用意している会社は多くありますが、その目的は福利厚生であったり、作業効率向上を謳っていたりと、まちまちです。
弊社では、2018年から在宅勤務の制度を運用しています。少し面白いのは、弊社ではこれをBCP(事業継続計画)の一環として位置付けているということです。
出社困難な天候への対処をBCPで定める
弊社オフィスのある新潟市は、新潟県内では比較的雪が少ない地域です。しかし、それでも数年に一度は交通網が麻痺するような大雪が降ります *1 。そういった場合に無理に出勤させて、社員が大怪我でもしようものなら、事業継続に影響が出るかもしれません。
そういった事態を回避するため、大雪等で出社が困難になることが予期される場合に、事前に機器を持ち帰って在宅勤務できる制度が、BCPの一環として整備されました。機器持ち出し申請等のワークフローも用意され、ISMSの審査にも耐える、しっかりした制度になっています。
恒常的な在宅勤務をBCP訓練として位置付ける
さて、これだけだと緊急時のための制度なのですが、ここで経営企画職の@ksonwpさんが良いことを言いました。「常日頃から運用していないと、いざというときにも運用できない」と。
これが上手いこと経営層の支持を得まして、弊社では在宅勤務が”恒常的に実施するBCP訓練”としての立場を獲得したのでした。フルリモートを実現するのが目的ではなかったので、火曜日〜木曜日の間で自由に在宅勤務ができる制度としていました。月曜と金曜に対面で打ち合わせができるので、これはこれで良かったなと思います。
制度を運用し始めた当時は、在宅勤務による事業継続を実施する日々がこんなに早く来るとは予想もしていませんでしたが、BCP訓練の成果としては上手くハマったな、という印象です。
ウォーターセルの開発を支えるコミュニケーションインフラ
在宅勤務の制度を整えていく過程で、インフラエンジニアの@kam1nchuさんをはじめとした多くのメンバーの努力により、社内インフラの調整が行われました。
開発部目線では、次のようなツールで開発時のコミュニケーションを行なっています。
ツール | 用途 |
---|---|
GitLab | ソースコード管理・CI |
VPN | 社内ネットワーク内のリソース利用 |
Backlog | 課題管理・タスク管理 |
Gmail | メール(社外連絡用) |
Googleドライブ | 各種ファイル置き場 |
Scrapbox | ナレッジベース |
Adobe XD | デザイン共有 |
Chatwork | テキストチャット |
Chatwork Live | 少人数でのビデオチャット・音声チャット |
Google Meet | 少人数でのビデオチャット |
すべての社内システムをクラウド化しているわけではない弊社では、特にVPNの整備が大きな役割を果たしました。BCP訓練としての実績を重ねていく中で、アカウントの払い出しワークフローが固まっていき、注意事項が洗い出されました。在宅勤務に切り替える時点で「WindowsやmacOSのOSアップデートをするときにはVPNを切って実施してほしい」という話が出てくる程度に経験値が溜まっていたのは、素晴らしいことだったと思います。
また、社内ではZoomの利用実績もありますが、比較的大人数でのミーティングに限った利用になっています。セキュリティ面での世論から、採用見直しの声もちらほら上がっていますが、今のところは東京大学 情報基板センター様のペーパーを参考にしながら、これに準拠した運用を心がけています。
営業系の部門でも案件管理等でクラウドサービスを導入し、出張時や在宅勤務時にも情報共有が可能な体制を作っているようです。
みんなの自宅の作業デスク情報が集まってくる魔法のスレ
在宅勤務ならではの楽しい取り組みもあります。ペパボさんが面白いことをやっているのを見つけたのがきっかけでした。
これは面白いということで、社内Scrapboxにも同様のページができました。
筆者の環境は3段階ほどモデルチェンジしており、そのたびに追記をしています。
もともとPC環境を整えていた人もいれば、ノートPCだけでなんとかしている人もいました。会社から借りたディスプレイ *2 で何とか環境を底上げしたり、だんだん自分でもディスプレイが欲しくなってきて買っちゃった、という人もいました。
仕事環境の格差が生まれやすい状況に課題
この取り組みの副産物として、趣味の範囲で自宅のPC環境を整える人もいれば、そうでない人もいることが見えてきました。Web系の企業に勤務しているITエンジニアだからといって、自宅に高速なインターネット回線や、開発に集中できる環境を整えているわけではありませんし、仕事のためにこれらを自費で整えなければいけない義務もありません。
こうして在宅勤務が長期間に及ぶと、オフィスに比べて仕事環境に格差が生まれやすい状況が、今後の課題になっていきそうです。
仕事のやり方は変わった?
やはり、雑談やミーティングの在り方は変わったように思います。
雑談用のGoogle Meet部屋も用意していますが、やはりオフィスに比べると雑談の量は減っているように思います。
ミーティングについては、ホワイトボードの代替を上手く見つけられていないものの、「共有したい内容を事前にScrapboxに書いておき、議事録はミーティング中に追記していく」というスタイルを2019年のうちに構築しておいたおかげか、思ったよりも回っているように思います。
他の部分では、あまり変わっていないようにも思います。仕様の議論は、以前からBacklogやScrapbox、Adobe XDなどで共有しながら実施していましたし、コードレビューはGitLab上で実施していました。本番リリースの工程で手作業が入る部分については、Google Meetの画面共有で立ち合いする文化もできていました。
BCP訓練という建前の在宅勤務を推進しながら、仕事ができる環境づくりをしてきたのが、功を奏したのだと思います。
まとめ
ウォーターセル開発部の在宅勤務への取り組みについてご紹介しました。
- BCP訓練として在宅勤務を運用していたのが、実際にBCPの履行に繋がった
- 各種クラウドツールで業務を回していたのがうまくいった
- クラウド化していないシステムにはVPNを運用して経験値を貯めておいたのが良かった
- 開発環境の個人差は今後の課題になるかもしれない
- 雑談やミーティングのやり方にも慣れていく必要がある
といったところでしょうか。
まだまだ模索している最中ではありますが、社会の現状に合わせて、なんとか踏ん張っていきましょう。